タロットざっくり歴史


タロットと言えば占いと感じるかもしれませんが、近年の欧米やヨーロッパでの著作を読んだりサイトを見ていると、self-discovery、自己探求のために使うという流れが強いと感じます。
私も未来予知とかでは全くなく、心を客観的に眺める、そして心と向き合うのに素晴らしいツールだと感じて使っています。



 
さてさて、タロットにはざっくり大きくわけて「マルセイユ版」と「ライダー版」の2つの流れがあります。 
マルセイユ版は古くからある流れ、ライダー版はマルセイユ版から新しく作られたものです。


で、タロットで今スタンダードなのはいわゆる「ライダー版」の方です。



まずマルセイユ版からみていきましょう。
タロットは人生のテーマ・大きな流れや節目を表す大アルカナ22枚、日常的な出来事や感情の動きを表す小アルカナ56枚に分かれます。
(アルカナとはラテン語で秘密という意味)
これが大アルカナ。



こちらが小アルカナ、Aceのみ。




(mamanmiyuki マルセイユタロット)



Aceから10まで、それとコートカードと言われる人物のカードが4枚でワンセット。(スートと呼びます)
それが×4。
スートはcup(杯)、sword (剣)、wand(棒)、 pentacle(coin/コイン)の4つ。
トランプの構成を思い浮かべると分かりやすいです。



今のこの形になるまでにはさまざまな変遷があったようです。

タロットが歴史的に初めて記録されているのは、15世紀初めのイタリア。
現存する最古のタロットは1450年頃、ヴィスコンティ・スフォルツァ版と言われるタロットです。


しかし大アルカナと小アルカナの起源は別々のようです。
小アルカナの起源は中国で使われていたゲームからではないかと言われています。確かにコインなどマージャンの牌そっくり。
これね↓





中国からイタリアにわたるまで、インドやイスラムの国であったマムルークなどを通りますが、これらの国は小アルカナの構成に非常によく似たゲームがあります。いわゆるトランプの起源も中国説が有力らしいです。


大アルカナはヨーロッパ起源。中世のヨーロッパやルネサンスの影響が強く見られるものの、誰がこのデザインを描いたのかは分かりません。
そしてなぜこの別々の起源のカードがくっついて「タロット」と呼ばれるようになったのかも分かりません。


ただ、ゲームとしてなら小アルカナで十分なはずで、大アルカナはみんな絵柄が違うし、さらに作られた時代を考えるとあきらかに弾圧されそうな(笑)キャラクターもあります。
女司祭や、バイセクシャルなデビル(悪魔)など。
大アルカナは、公にはできなかった古代の隠された教えや秘密をシンボルにこめて伝えられてきた…そんな主張もあります。
(カモワン・タロットなどがそうだと思います。カモワンはマルセイユ版の中のひとつ) 


キリスト教まっさかりの時代ですから、それに対立するような教えは表立っては言えない時ではあります。
マルセイユタロットの大アルカナの絵柄の配置は、神聖幾何学で、エジプトの神殿の石のデザインと同じだとか。



私は深く歴史を研究しているわけではないのでわかりませんが、ただ、誰が描いたのか分からない、でもひとつのSTORYとして魅力的に仕上がっていて、現代まで受け継がれたということがまずスゴイと思いますし、78枚で表しているひとつの世界観がとても好きです。



現存する最古のマルセイユ版タロットはフランスのジーン・ノブレ版で1650年頃。
マルセイユは交通の要所でもあり、ここにたくさんのタロットを作る工房?があったようです。


18世紀あたりからタロットは占いとしても使われ始めます。
1800年代はじめは女性カード占い師が大ブームだったらしく、パリでは禁止令がでたらしい。(ル・ノルマン夫人がこの頃活躍)


1854年フランスの神秘主義者レヴィがタロットをカバラと結びつける著作を発表、その後ポール・クリスチャンが占星術と結びつける著作を発表し、それ以後の流れを形作ります。


そしてイギリスのアーサー・E・ウェイトがレヴィの著作の一部英訳版を発表。
ウェイトはゴールデン・ドーンという魔術結社の会員でした。まあ、オカルトですね。
その後いろんなことが内部であったようですが(笑)、このウェイトがパメラ・コールマン・スミスに頼んで描かせたタロットが「ライダー・ウェイト・スミス版」です。
ライダーは出版社の名前。
略してRWS版、と言われることも。
ライダー版の大アルカナはこんな感じ。
(RWS センテニアル版)






そして魔術結社の内部でしか共有されていなかったタロットと占星術、ヘブライ文字との関係なども表にでてくるようになります。そもそものライダー版は魔術結社ゴールデンドーンの修行用(?)に作られたものですが、これらの動きにより大衆化されていきます。
マルセイユ版からライダー版はかなりかけ離れている、というかライダー版はいろんな教義とくっついていて、よりシンボルが複雑化していると思います。
(が、私は直観的な読み方なのであまり気にしていません)
ちゃんと深くウェイトの著作など読み込めば、また違う次元でreadingできそうですが、私はマルセイユ版のシンプルな美しさが好きです♡



ではなぜライダー版がこんなにも広がったのでしょう?

それはマルセイユ版の小アルカナが、スートのみのシンプルなものであるのに対し、ライダー版は全てを絵柄にしたことです。

マルセイユ版、小アルカナのコイン。
Aceから10まではこんな感じ。



ライダー版だとこう。



あらなんだか分かりやすい!(笑)
というか、想像しやすいですよね。
大アルカナは絵柄に大きな違いはあまりないですが(違い=例えば8番めと11番めのカードが、ライダー版は確かヘブライ文字との対応の関係で逆になっているなど。厳密には絵柄の細かな違いはたくさんあります)、小アルカナが全く異なります。


つまり解釈も、マルセイユ版とライダー版は違うところも多いのです。
(特にswordの絵柄はパメラの父?の影響でブードゥー教の影響が入っていると伺ったことがあります)



コートカード(人物)の比較、マルセイユ版。




ライダー版。



ライダー版がこんなにも世界に広がったことに、作ったお2人が一番驚いていると思います(笑)
そしてライダー版をもとに、現在もたくさんのオリジナルなタロットが作られています。

私が持っているライダー版の中からいくつか。


このカラフルさ、多様さがライダー版の魅力でしょうか。
マルセイユ版はある意味もう完成されていて、大きく変化はしないですからネ。 
(マルセイユ版も年代によって、色々バージョンはありますが)


個人の収集家の方で、このHPのデッキ一覧でたくさんのタロットを見れますよー。すごい量です(笑)
この方のタロットに対するスタンスも好きです☺︎☺︎


ざっくり歴史終了。



日本にある本のほとんどはライダー版の解説書です。
マルセイユ版は英語訳も少ないですが、どうやら「TAROT: the open reading」という超読みやすい!マルセイユ版解説書は近々日本語訳が発売されるようです。
私は英訳で読みましたが、ほんとオススメです☺︎
(作者のYoav博士は今月亡くなったそうです(;_;))

そしてカモワンタロットの解説書ともいえる本が今月ついに発売になるようです!
貴重!!


「タロットの宇宙」
アレハンドロ・ホドロフスキー

英訳版「The way of tarot」を持っていますが(もともとはフランス語)、そんなに読みやすい英語ではない(笑)のでまだ全て読みきれておらず、嬉しい♡
マルセイユ版全てに通じるところがあると思います。



ライダー版の解説書で、日本語訳されているクラシックなロングセラーといえばレイチェル・ポラックとジョアン・バニングです。
私はここ20年くらいで出版されたもの(洋書)を中心に読んでいます。
オススメはまたそのうちに♡